200年のデータが語る「ゴールドの限界」
― 成長しない資産と、時間を味方にする資産 ―
FPぐっさん: こんにちは、FPぐっさんです。
りん: こんにちは、りんです。先生、前回は「行列ができる投資ほど危険」という話でしたね。あの後、改めて金のニュースを見ると、なんだか違った見方ができるようになりました。
FPぐっさん: そうでしたか、りんさん。それは良い傾向です。
さて今回は、その続きをお話ししましょう。
テーマは「ゴールドが“守る資産”ではあっても、“育てる資産”ではない理由」です。
■ 200年のデータが語るゴールドの実力
語り手: まずは、1800年代から現代まで、約200年のデータを見てみましょう。
株式、債券、ゴールド、現金――それぞれの資産が、時間とともにどう成長したのかを比較したものです。
| 資産クラス | 実質価値の変化(1802年→2022年) | 年平均実質リターン |
|---|---|---|
| 株式 | 約1ドル → 約200万ドル以上 | 約6.8% |
| 長期債券 | 約1ドル → 約2,000ドル | 約3.5% |
| 短期債券 | 約1ドル → 約300ドル | 約2.7% |
| ゴールド | 約1ドル → 約100ドル | 約0.6% |
| 現金(購買力) | 約1ドル → 約0.05ドル未満 | ― |
(出典:Jeremy Siegel『Stocks for the Long Run』第6版)
りん: わっ、すごい差ですね。
株式は200万倍以上になってるのに、金は100倍程度ですか…。
FPぐっさん: そうなんです。
年平均リターンで見ると、株式は約6〜7%、金はわずか0.6%。
たった数%の違いが、200年という時間を経るととんでもない差になるんです。
■ 「働く資産」と「眠る資産」
りん: どうしてこんなに差が出るんですか?金って昔から価値があるのに。
FPぐっさん: 理由はシンプルです。
株式は企業が利益を生み出し、その利益を再投資してさらに成長します。
つまり「お金が働く仕組み」の中にある資産なんです。
一方でゴールドは、持っていても何も生み出しません。
配当も利息もなく、時間が経っても“そこにあるだけ”。
いわば――
株式は「働く資産」、ゴールドは「眠る資産」。
りん: なるほど。
確かに、寝かせてるだけじゃお金は増えませんね。
FPぐっさん: その通りです。
時間を味方につけるためには、資産が“成長の循環”に参加していることが大切なんです。
■ ゴールドの“保険”としての価値
りん: でも先生、金って世界的に信頼されてますよね?
持っておく意味はあるんですか?
FPぐっさん: ありますよ。
たとえば、戦争や通貨危機のときには価値を守る“保険”になります。
世界中で共通の価値を持つ資産ですから、いざというときの安心感があります。
ですので、ゴールドを少しだけ持っておくのは悪い選択ではありません。
ただし、メインの資産に据えるのはおすすめできません。
それは“守る”ための資産であって、“育てる”ための資産ではないからです。
りん: なるほど。
守りながら増やすには、やっぱり他の資産が必要なんですね。
■ 「時間を味方にする投資」へ
FPぐっさん: その通りです、りんさん。
資産を育てるうえで最も強いのは、成長と時間を味方にできる投資です。
つまり、企業の成長に参加し続ける株式や投資信託のような“成長資産”。
そして、その成長資産を支えるのが
「長期・分散・積立」という三つの原則です。
りん: やっぱり基本に戻るんですね。長期・分散・積立。
FPぐっさん: そうなんです。
焦らず、コツコツ、時間をかけて資産を育てること。
それこそが、誰にでもできる再現性のある資産形成です。
まとめると――
ゴールドは“守る資産”。
株式は“育てる資産”。
その違いを理解したうえで、
どちらも上手に活かすのが賢い投資家の姿です。
りん: うーん、深いですね。
前回よりも一歩進んで、“時間を味方につける”という意味がわかってきました。
FPぐっさん: それは良かった。
では次回、第3部ではいよいよ――
「群集心理を超えて“未来に期待する投資”へ」
というテーマで、長期投資の本質を一緒に考えていきましょう。
りん: 楽しみです!ぐっさん先生、今回もありがとうございました。
FPぐっさん: こちらこそ、りんさん。では次のコラムでお会いしましょう。
執筆:FPぐっさん/CoMIRAIZ
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