「電気代を狙って安くする時代」
市場連動型プランをFP目線で聞いてきた
先日の投稿で「事務所の電気を再エネに切り替えるかどうか検討している」と書いたところ、何人かの方からメッセージをいただきました。
今日は、その続報です。
知人の紹介で新電力事業者のご担当者と詳しく打合せをしてきました。単なる試算依頼のつもりが、電気料金の仕組みについてかなり勉強になる話を聞けたので、FP目線でまとめておきます。
なお、今回の検討対象は事務所の電気料金です。自宅の電気については別のプランを使っており、理由は後ほど説明します。
お話を聞いた会社について
今回お話を聞いたのは、愛媛エナジーという新電力会社です。光通信グループのハルエネ地域創生という電力会社が母体で、愛媛エナジーはその代理取次をしています。
一般家庭向けの件数では新電力全体で6位ですが、事業用電力(業務用)の取り扱いに特化してきた会社で、業務用に限ると国内シェア1位とのこと。ほとんど宣伝していないのに、業界内ではよく知られた会社のようです。
「未来プラン」の仕組み — 電気が「余っている」ことを知っていますか?
今回ご提案いただいたのが、「未来プラン」と呼ばれる市場連動型の電気料金プランです。
通常の電力会社は、卸電力市場(JEPX)で電気を仕入れ、利益を乗せてユーザーに販売しています。このプランは仕入れ単価をそのままユーザーに渡すという仕組みです。
では、なぜそれで安くなるのか——。カギは太陽光発電の普及です。
電気は「作る量」と「使う量」を常に一致させないと停電が起きます。余っても大規模停電の原因になる(変電所のキャパオーバー)ため、電力会社は供給量を細かく調整しています。
15〜20年前のオール電化時代は、原子力発電がフル稼働していたため夜間に電気が余っていました。だから夜間割引のエコキュートや深夜電力プランが生まれた背景があります。
それが今は逆転しています。
太陽光発電の急速な普及で、昼間に電気が余るようになっています。四電(四国電力)が太陽光発電に出力抑制をかけているのも、昼間の余剰電力が変電所のキャパを超えるからです。
この「昼間余っている」状況が、卸電力市場の仕入れ価格に直接反映されます。昼間の仕入れ単価が0円台になる時間帯も実際にあります(一般家庭の電気代は現在1kWh=35円前後)。市場連動型プランはその仕入れ価格をそのまま供給するため、昼間の電力消費が多いほど削減効果が大きくなるという仕組みです。
もともとは病院や学校など高圧契約(キュービクルのある施設)向けに使われていたプランで、2025年8月から一般家庭・事業所向けにも展開されました。現在、高圧契約の業務用電力はほとんどがこの市場連動型に移行しているとのことでした。
実際に試算してもらった結果
4月・5月分の明細を渡して試算してもらったところ、月額約2,000円の削減(約10%)という結果が出ました。
これは6月の市場平均価格での試算です。昼間の使用割合が多い場合はさらに削減幅が広がる可能性があります。逆に夏場など需要が高まる時期は単価も上がるため、月ごとのブレはあります。
FP目線で確認した3つのポイント
試算結果が良くてもすぐに決断するのがFPの仕事ではありません。契約内容を整理して確認しました。
① 契約期間と解約条件
このプランは5年の自動更新です。5年以内に解約する場合、違約金(約2万円)が発生します。ただし、閉店・廃業などの理由で解約する際は事業者側が負担するとのこと。引越し・移転の場合も違約金は発生しません。
縛り期間は長いと感じますが、月2,000円の削減が続くなら仮に途中で解約しても数ヶ月でペイできる計算です。
② 燃料調整費の扱い
四電などの大手電力会社は、原油・LNGの価格変動を「燃料調整費」としてユーザーに転嫁しています。中東情勢など世界情勢の影響で1kWhあたり+10円を超えた時期もありました。
今回の事業者は燃料調整費をゼロ係数にしています。市場が下がっても割引は入りませんが、上がっても追加請求はない。一方で、市場連動型プランは仕入れ価格が市場に直結するため、夏場など需要期は価格が上振れする可能性もあります。「燃料調整費なし=完全固定」ではない点は理解しておく必要があります。
③ 元のプランに戻れるかどうか
現行のでんかeプラン(四電のオール電化)から切り替えた場合、でんかeプランは現在も存在するプランなので、元のプランに戻ることが可能です。
注意が必要なのは、廃止済みのプランからの切り替えです。かつて四電が提供していた「季節別時間帯別電灯」は現在新規受付を終了しており、一度切り替えると戻ることができません。
実は、私の自宅はこの「季節別時間帯別電灯」を使っています。
担当者からは「試算すれば多少安くなる可能性はある」と言われましたが、私はFP目線で見送ることにしました。理由は2つです。
1つ目は、季節別時間帯別電灯は夜間の単価が非常に安い設計のため、昼間の電力消費が少ない住居の場合、市場連動型に切り替えてもメリットが限定的になりやすいこと。
2つ目は、廃止プランなので元に戻ることができないこと。「多少安くなる」程度のメリットで、生活スタイルの変化や今後の市場環境の変化に対応できなくなるリスクは取れない、と判断しました。
今回の電気料金見直しは、あくまで事務所のみを対象としています。
古いプランを使っている方は、「安くなるかもしれない」だけで判断せず、元のプランに戻ることができるかどうかを必ず確認してください。
どんな人に向いているか
打合せを通じて整理した「合う人・合わない人」です。
向いている人
- 昼間の電力消費が多い(事務所、カフェ、日中在宅の家庭)
- ペットのために昼間もエアコンを稼働している家庭(日中ずっとかけっぱなしの家庭は大きく削減できるケースも)
- 動力契約のある店舗・事業所(事例では飲食店が月12万円→約6万円になったケースも)
向いていない人
- 夜間しか電力を使わない業態(夜の飲食店など)
- 今後、昼間の在宅時間が増える可能性が高い(育児・介護など生活スタイルの変化)
手続きはシンプル
切り替えに必要なのは、申込書類(支払方法の記入)を提出するだけです。
- 四電への解約連絡は不要
- 工事・手数料は一切なし
- 検針日ごとに自動で切り替わる(私の場合は24日検針のため、今週申込で最短8月24日から)
電力会社同士のマッチング処理は事業者が行うため、手続き上のトラブルも自分で対応する必要はないとのことです。
結論:申込書類を請求することにした
今回の打合せを経て、事務所については申込書類を取り寄せることにしました。契約内容の最終確認をしたうえで判断します。
現在のでんかeプランは基本料金だけで月7,254円かかっています。月2,000円の削減でも年間2.4万円、5年で12万円。FPとして「情報を集めてから判断する」というプロセスを踏んだ結果の結論です。
自宅については前述の通り、現在の季節別電気料金から切り替えてもメリットが出にくいと判断し、今回は見送っています。
ただし、このプランが誰にでも合うわけではありません。
大切なのは——試算を出してもらってから判断することです。
明細3ヶ月分を渡すだけで試算は出ます。試算の段階では費用はかかりません。「電気代が気になっている」という方は、まず選択肢があることを確認するだけでも価値があると思います。
今回電気料金の相談に乗っていただいたのは愛媛でんき|愛媛エナジー株式会社の谷木社長
もし”我が家も試算して欲しい”という方はお問合せください。愛媛エナジーさんへご紹介いたします。
(切り替え後の結果はまた報告します)
📘 FPぐっさん/CoMIRAIZ
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