退職金の有無で、何が変わるのか?
「退職金がある会社」と聞くと、少し“ちゃんとしている感”があります。
一方で、「うちは退職金がないから…」と、どこか後ろめたさを感じている経営者の方も少なくありません。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみたいのです。
退職金が“ある・ない”で、本当に変わるのは何なのか。
結論から言えば、変わるのはお金そのもの以上に、
安心感・将来の描き方・会社との関係性です。

かつての退職金は「功労褒章」だった
少し昔の話をしましょう。
終身雇用が当たり前だった時代、退職金は
「長年会社に尽くしてくれてありがとう」という功労褒章の意味合いが強いものでした。
・定年まで勤め上げる
・転職はほとんどしない
・老後は年金+退職金で何とかなる
この前提があったからこそ、
退職金は“最後にもらうご褒美”で十分に機能していたのです。
従業員目線:退職金があると「将来を考えられる」
時代は変わりました。
転職は珍しくなく、
年金だけで老後が安心とは言い切れない。
そんな中で、従業員が感じているのは――
「この会社で働き続けた先に、何が残るんだろう?」
退職金制度があると、従業員はこう考えられます。
- 将来のお金を“ゼロから自分だけで”考えなくていい
- 老後や転職後の生活をイメージしやすい
- 目先の給与だけでなく、長期の視点を持てる
これは単なる金額の問題ではありません。
「この会社は、将来まで考えてくれている」という安心感です。
安心があると、人は不思議と落ち着きます。
落ち着くと、仕事のパフォーマンスも上がる。
ここ、見逃されがちですが、とても現実的な話です。
経営者目線:退職金は“コスト”から“設計”へ
経営者側から見ると、退職金はどうしても
「将来の負担」「よく分からないコスト」に見えがちです。
ですが、最近の退職金制度は考え方が変わってきています。
- いつ・いくら必要になるかを見える化できる
- 従業員のキャリア設計と連動させられる
- 「辞めさせないため」ではなく「納得して働いてもらうため」の制度
つまり退職金は、
人を縛る仕組みではなく、未来を一緒に設計する仕組みになりつつあります。
「安心を提供できる会社かどうか」
これは、採用・定着・職場の雰囲気に、静かに、しかし確実に影響します。
今の退職金は「人生設計の一部」
現代の退職金は、もはやゴールでも、ご褒美でもありません。
- 従業員にとっては
キャリアプランニングの一部 - 経営者にとっては
会社の姿勢を示すメッセージ
「この会社で働くと、将来が少し見える」
そう思ってもらえるかどうか。
退職金の有無は、
会社の“人への向き合い方”を映す鏡なのかもしれません。
最後に:制度よりも、対話が大切
大切なのは、
「立派な制度を作ること」ではありません。
- 今、何が不安なのか
- 将来、どんな選択肢を持ってほしいのか
これを一緒に考えることです。
退職金は、そのための“道具”にすぎません。
でも、道具があると、話は驚くほど具体的になります。
会社と従業員が、同じ未来図を描けるかどうか。
そこに、これからの退職金制度の本当の価値があります。
📘 執筆:FPぐっさん/CoMIRAIZ
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