資産2,000万円、それでも相談に来られた30代の方の話
「運用はうまくいっていると思います。
ただ、このままでいいのかが分からなくて。」
そう言って相談に来られたのは、30代の方。
保有資産は株式と投資信託が中心で、全体として大きな失敗はなく、年利ベースでも約3%ほどのリターンが出ている状態でした。
さらに補足として、外国債券も一部保有されていました。
数字だけ見れば、かなり堅実。
それでも相談が必要になるのは、資産運用が「成績」だけで終わらないからです。
「インデックスが良い」は分かる。でも流行りすぎが怖い
投資信託はインデックス中心。
その一方で、ご本人の中に小さな警戒心が生まれていました。
きっかけは奥様の一言。
「インデックス投資がいいらしいよ」
それを聞いた瞬間に、
「みんなが同じ方向を向きすぎている。流行りすぎでは…?」
と、むしろ不安が強くなったそうです。
この感覚は、変に逆張りしているわけではなく、むしろ自然です。
流行っている=正しいとは限らないし、投資で一番怖いのは“納得しないまま乗ってしまうこと”だからです。
次の投資先が決まらない理由は「商品」ではなかった
話を進めると、次の悩みが出てきました。
「次に投資する先で、これといったものが見つからない」
ここで重要なのは、投資先が見つからないこと自体よりも、
“投資の判断基準”がどこにあるのかが揺れていることでした。
その揺れは、お金の話だけではなく、家庭の話にもつながっていました。
教育方針の話で、思考が止まった
お子さんの進学について、ご本人はこう考えていました。
「進学先は高卒で十分だと思う」
ただ、ここでこちらから一つだけ確認しました。
「もし、お子さんが“大学に行きたい”と言ったら、断れますか?」
すると、ご本人は答えられませんでした。
さらに聞くと、奥様とは教育について方向性を深く話していない、とのこと。
この瞬間に見えてきます。
投資の迷いは、家族の意思決定の曖昧さとつながっている。
つまり「どの商品を買うか」以前に、
人生の優先順位と将来の支出の許容度が未整理だったわけです。
分散投資は知っている。でも“なぜ”が曖昧だった
次にポートフォリオの考え方を確認しました。
ご本人は、複数アセットで構成する理由をこう説明されました。
「リスクとリターンをコントロールするためですよね」
これは教科書的に正しい答えです。
ただ、さらに一段だけ踏み込んで、
「では、そのコントロールは“何のために”やっているんですか?」
と聞くと、はてな顔。
ここに、運用が順調でもアドバイザーが必要になる理由があります。
知識はあっても、目的(人生側)と接続されていないと、行動がブレる。
ブレた瞬間に、人は高く買い、安く売ります。
「個人投資家には決算がない」という視点
そこでお伝えしたのが、次の考え方です。
個人投資家には、会社のような「決算」がありません。
期限も、必達目標も、基本的には自分で決められる。
だからこそ、
「リスクを“共有できる”状態を作れるなら、
分散の意味を教科書通りに最大化しなくても、問題が少ないことが多い」
とお伝えしました。
するとご本人は、
「確かに…そうですね」
と理解を示されました。
ここで整理されたのは、分散の是非ではなく、
自分にとって必要な分散の程度でした。
投資で勝つより大事なのは「失敗しないこと」
面談の終盤で、結論をシンプルに置きました。
投資家が成功するために必要なのは、
失敗しないこと。
そして、個人投資家の典型的な失敗はこれです。
- 高く買って
- 安く売る
これを起こさないために最も確実なのは、
- 売買を最小限にする
つまり
- 長期保有
そして長期保有を実行するには、
- 長期保有に適した投資先(=自分が腹落ちする投資先)が必要
とお伝えしました。
面談を終えて
この日、何か特定の商品を買ったわけではありません。
でも、ご本人は満足した表情で面談を終えられました。
理由は明確です。
運用の成績ではなく、“迷いの正体”が分かったから。
運用が順調な人ほど、
判断がブレたときのダメージが大きくなります。
だからこそアドバイザーの価値は、
「当てる銘柄を教える」ことではなく、
高く買って安く売る“失敗行動”を起こさないように、目的と行動をつなぎ直すこと。順調なときに整えておく。
それが、いちばん強いリスク管理だと感じた面談でした。
📘 FPぐっさん/CoMIRAIZ
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