教育費”FPの視点”
教育費は「人生の一時期の支出」にすぎない
このシリーズでは、教育費の総額、金利上昇の現実、年齢別の積立シミュレーションを見てきました。
最終回の今回は、私がFPとしていちばんお伝えしたいことをお話しします。
「教育費専用の貯金箱」では視野が狭くなる
教育費を「子ども専用の貯金箱」として考えると、どうしても視野が狭くなります。18年後に○○万円必要だから、逆算して月○万円——この発想だけでは、相場が下がった瞬間に計画が崩れてしまいます。
教育費は、人生を通じた家庭の支出の中の「一時期の支出」にすぎません。
住宅費、生活費、老後資金……人生にはさまざまな大きな支出がありますが、教育費もその一つです。だからこそ大切なのは、教育費だけを切り出して準備することではなく、できるだけ早い時期から「家庭の金融資産全体」を育てていくという視点です。
早くから資産形成を始めていれば、教育費の支出は「成長を続ける資産の中からの一時的な取り崩し」になります。長期の資産成長の中で発生する支出として捉えれば、短期の相場変動に振り回されることもありません。
「成長する資産」を持ちながらローンを組むという選択肢
もう一つ、よくある誤解を解いておきたいと思います。
「資産があるなら全額使って、借金はしないほうがいい」——これは必ずしも正解ではありません。
たとえば、長期で年平均3〜5%の成長が期待できる資産を保有しているとします。一方、教育ローンの金利は3%台。数字だけを比べれば「全額返済したほうが得」に見えるかもしれません。
しかし、成長する資産を取り崩してしまえば、その後の複利効果は失われます。教育費という一時期の支出のために、長期で育ててきた資産の成長を止めてしまうのは、人生全体で見ると大きな機会損失になり得るのです。
成長する資産を維持したままでローンを組む。 これは決して悪い選択ではありません。むしろ、家計全体の資産効率を考えれば、合理的な判断になることもあります。
もちろん、借入額や金利、家計の余裕度によって最適解は変わります。大切なのは「借金=悪」という思い込みにとらわれず、資産全体のバランスの中で判断するということです。
教育費準備の3つの原則
1. 児童手当を「なかったもの」にする
2024年10月からの拡充で、0歳から18歳まで受け取る児童手当の総額は約234万円(第1子・第2子)。これを全額貯蓄に回すだけで、大学費用の半分以上をカバーできます。
2. 「教育費専用」ではなく「家庭の資産全体」で考える
教育費だけを別枠で貯めようとすると、運用の成否に一喜一憂することになります。家庭の金融資産全体を早くから育てて、教育費はその中からの一時的な支出として捉える——この発想の転換が、結果として最も安心できる備え方です。
3. 使う時期から逆算して手段を選ぶ
- 10年以上先 → NISAでの長期運用も選択肢(家庭の資産全体を育てる視点で)
- 5〜10年先 → 元本確保型の商品(定期預金・個人向け国債など)を軸に
- 5年以内 → 普通預金・定期預金で確実に確保
まとめ
教育費だけを見て焦るのではなく、人生全体の中での「一時期の支出」として捉え、家庭の金融資産を早くから育てていく。そうすれば、教育費の準備も、その後の資産形成も、無理なく両立できます。
成長する資産を持ちながら、必要に応じてローンを活用する。その判断ができるようになることが、本当の意味での「教育費への備え」だと、私は考えています。
子どもの将来の選択肢を広げるために、「教育費の準備、どうする?」を家族で話すきっかけにしていただければ幸いです。
📘 FPぐっさん/CoMIRAIZ
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